血糖の正常値は、糖負荷試験では空腹時110 mg/dl未満および2時間値140 mg/dl未満とされています。
1ヶ月の血糖の平均値HbA1cは基準値が4.9~6.2%とかなり幅広くとってありますが、
正常な人は5.0%前後です。

糖尿病の初期は、食後の血糖が上がるだけで、それ以外の大部分の時間は血糖が低いので、
1ヶ月の血糖の平均値のHbA1c自体は高くありません。

しかし、正常の定義からは、血糖が食後140mg/dl以上は異常値です。
食後血糖が140mg/dl以上になると、HbA1cは5.6%以上となります。

したがって、検診では、HbA1c5.6%以上は、軽い糖尿病として、食事療法、運動療法の指導対象となります。
HbA1cが基準値以内だと安心される方が多いですが、5.6%以上は要注意です。

なお、空腹時血糖が106mg/dl以上は、糖尿病の可能性があるとして、精密検査(糖負荷試験)が推奨されています。

初期の糖尿病(境界型、あるいは境界型まではいかないが、決して正常ではないもの、いわゆる耐糖能異常)は、精密糖負荷試験(糖負荷試験に加え、インスリンないしCペプチドを測定)でないと見つかりません。

心当たりのある方は精密検査をおすすめします。
早い段階で軽い糖尿病を見つけ、重症化を防ぐのが大事です。

[ 参考 ]
2型糖尿病病態の進展


下図は、血糖と内因性インスリン分泌能の関係から、2型糖尿病の進展をみたものです。

欧米人では、A→B→C→D→Eと病態が進展するが、日本人ではA→C→D→Eと進行するタイプが多いようです。
しかしながら、精密GTTを施行すると最近は、日本人でも肥満者には、Bのタイプが時々見られることがあります。
また、内外の文献ではインスリン抵抗性が高インスリン血症に先行するという意見が大勢を占めるといわれています。病態を把握して、それに適合した治療法を選択することが重要と考えられます。

2型糖尿病の病態の進展の図

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