糖尿病で食事療法をされている方も、外食の機会は多いものです。特に仕事をしている方は,毎日、自宅で作った弁当持参という訳にもいかず、昼は外食、さらに、仕事上の付き合いで、夜も外食という方が多いです。また、当然、家族や友人と外食の機会もあります。
糖尿病で食事療法している人も、家で食事するときも,忙しいので調理済み食品を使うことも多いと考えられます。外食や調理済み食品を全く使わないことは現実的とはいえず、外食を上手に取り入れることは食事療法のポイントの一つとなります。
外食メニューの問題点
外食メニューで問題となるのは、カロリーが高く,肉料理などの蛋白質が多いもの、脂肪が多い惣菜(揚げ物など)や、ご飯類などの炭水化物が多く,野菜が少ないことです。また、体を動かして働いている人や若者が対象なのと、昔からの食物保存法で腐敗を防ぐという意味で,塩分や砂糖を多く使い味が濃いことです。これは糖尿病の方にとって大きな問題です。
外食を食事療法にうまく取り入れるには
糖尿病の食事療法は、その人の標準体重や運動量(重労働、軽作業、事務仕事)にあった「1日の必要エネルギー量」を決め、必要な栄養分をバランスよくとることです。すなわち。
全エネルギーを100とした場合、理想的なバランスとされるのは
糖質50~65%、
脂質20~30%、
たんぱく質13~20%
とされています。
漠然と言われても,どういう献立を作れば良いかわかりませんよね。
食維持療法の基本的勉強をするためには
日本糖尿病学会編・著、日本糖尿病協会/文光堂より2013年発行の「糖尿病食事療法のための食事交換表 第7版(以下、食品交換表)」が基本となります。外食はもちろんすべての食事療法の基本となる本です,糖尿病患者だけではなく,健康人にも最適なバランスの食事の仕方がマスターできます。
後ほど、食品交換表の理論は説明しますが、まず,索引を引くと,うどん,ラーメン,ハンバーグ一個何カロリーというように外食で良くでる食物の何グラムが何カロリーに相当するのか記載があり参考になります。
さらに,手っ取り早く,食事のカロリーを知りたいという方には、様々な献立の本があります。献立に頭を悩ます多忙な主婦にとっては、非常に参考になります。簡単に外食メニューを知りたいという方には、「外食 献立」などで検索すると外食用の本もあります。ただし、きちんとした栄養士さんが書いた本をおすすめします。学界で認められていないような、極端な意見の本もあり要注意です。
食品交換表の実際
ここで、食品交換表の使い方を、ご説明します。
三大栄養素とは、糖質、蛋白質、脂肪です。
交換表は、食品を主に含まれる食品により6つの表に分け、必要な栄養素を過不足なく摂るツールです。
第1表、第2表は糖質の多い食品です。
第1表 主食(米、麦、麺類)、芋、糖質の多い野菜(れんこん等)、豆(大豆は除く)
第2表 果物
第3表 肉、魚介、大豆とその加工品、卵、チーズ
第4表 牛乳と乳製品(チーズは除く)
第5表 油脂、脂質の多い種子(アーモンド。ピーナッツ等)
第6表 野菜、根菜、海藻類
調味料
食物を細かく分けていくと80キロカロリーという数字が最大公約数として一番分けやすい数字となります。80キロカロリーを食品交換表では1単位としています。
交換表には写真も豊富にあるので、写真など見て、どれが何カロリーあるか勉強します。
次に計量計やスプーンを用意して、自分の食べるものを索引で引いて、リンゴ150グラム(皮、芯を含めて180グラム)が1単位とかを調べて、実際の目の前にあるリンゴか何キロカロリーになるかを、覚えていくのが、勉強の基礎となります。
慣れてくると、目の前のおかずが何キロカロリーに相当するかわかるようになります。
たとえば、ご飯は通常量が160キロカロリー(100グラム)ですが、自分で量がわかるようになり、特に外食時など、多い過ぎるご飯を、残すことが可能になります。
魚やハンバーグと言った形のあるものは、いろいろな参考書の写真をみて、どれぐらいの大きさが、何キロカロリーかということもつかみやすく、参考になります。
それぞれに食物の量、何グラムが何単位(何カロリー)に相当するかを掴んでも、これだけでは、どういう食事をすればいいかというのは難しいです。
そのためには先ほど述べた献立の本が有用です。1600キロカロリーの食事を指示されたら、献立表の例を見て、第1表から第6表の食品をそれぞれいくらぐらい摂れば良いかを知ることが重要です。
例えば、主食の米はいくらぐらい、おかずがハンバーグだとしたらどれぐらいか、また野菜はどれぐらいか参考にします。
食品交換表の項で述べた基礎勉強で食物の量とカロリーがわかるようになれば、外食時でも、ご飯を取り分けたり、おかずも多い過ぎる物は残し、適正なカロリーをとることが可能になります。
また、砂糖や塩分の味付けの濃いものも要注意です。
お気軽にご相談いただければ幸いです。
粟井内科診療所
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