日頃、患者さんと接していて、病気が良くならない原因を列挙してみます。
非常に難しい医学的なことより、ちょっとした不摂生や油断が大きい原因となっています。
1. 間食が多い
女性の患者さんで良くならない人は甘いものや果物の取り過ぎが大きな原因です。
「わかっているけど、やめられないのよね」とおっしゃっているのを何百回も傾聴していますが、悲しいもので長年の生活習慣で全くなおせない方が多いです。
2. 間違った食事制限
糖尿病があるからといって、三度の食事を軽めに摂る方がいます。
米や肉や魚を食べない、野菜だけ摂る、結果的におなかがすくので余計に間食を摂るという悪循環があります。
蛋白質(特に赤身の肉や魚)、ご飯を全く摂らないというのは間違いで、糖質は一日150グラム(ご飯で言うと一回半膳)摂ることが必要です。
極端な糖質制限食は非常に危険で、学会でも否定されています。
3. 早食い
満腹感がないのでどうしても、食べ過ぎるようになります。
4. ドカ食い
一日2食、朝や昼を食べない人がいます。結果、どうしても夜の食事量が多い傾向があります。
5. 食事量が多い
長年のお付き合いでお話を聞いていると、常に食事の絶対量が多い方がいます。
これは育った環境(みんながよく食べる家)等が考えられます。
6. 低血糖を恐れて常に何か食べている
特にインスリンを使っている方に多いですが、一部の飲み薬も効きすぎで低血糖を起こすものがあります。
一回低血糖を起こした方は低血糖を恐れて、些細なことで補食をしている方がいます。
結果、食事量の摂りすぎで糖尿病が悪化します。
薬の使い方が悪いと言うより、食事の時間のずれ、重労働の時も食事を少量しか食べないなどが原因です。
これは主治医と十分相談して自分の生活パターンを正直に話して解決策をアドバイスしてもらうことが重要です。
最後に、糖尿病は医者なら誰でも診療できそうに思われていますが、実際はそうではありません。
糖尿病専門医は病気や合併症のことはもちろん、薬、インスリンのことも熟知しています。
糖尿病に対する深い知識や経験に裏打ちされた洞察力、スキルがあります。
加えて、上で述べたようなちょっとした落とし穴のこと(ほんの一部)をよく知っています。
簡単にサクッと診ているように見えますが、長い間の経験に基づいた病気や薬に対するスキルがあります。
ちょっとしたアドバイスや薬の変更で劇的に良くなった例もあります。
糖尿病でお困りの方はご相談ください。
ただし患者さんご自身の努力や良くなろうという意思も大切です。
粟井内科診療所
電話番号: 086-255-1330