糖質制限食について
従来、糖尿病の食事療法は、標準体重から算出した1日の摂取カロリーを定め、このうち50~60%は糖質のものを摂るというカロリー制限食が主流でした。
最近、糖質制限食という、食事療法が登場し、マスコミやインターネットで取り上げられてもてはやされています。
この食事療法は、米、パンをはじめとした糖質を極端に制限し、その代わり、タンパク質、脂肪、野菜はカロリーを気にせず、いくら食べても良いという食事療法です。
糖質は食後の血糖の上昇のスピードが早く、これを制限することにより、見かけの血糖が下がり、HbA1cも下がってくる方が確かに多いような、簡単で楽な食事療法として一般の方が飛びつく傾向があります。
しかし、糖質(ブドウ糖)が人体に絶対に必要なものであるというのは、間違いない事実で、全く、糖質が体内にないとしたら、死亡してしまいます。
糖質制限で、糖質を摂らない代わりに、体内の脂肪や、筋肉を分解して糖質を補給しているわけです。故に、肥満者では、体内の脂肪を分解して、体重減少といった効果もあるでしょう。
しかし、標準体重や、やせ形の方では、糖質を補充するため、筋肉を分解して、その結果、動けなくなる弊害も出る可能性があります。
糖質制限食 VS カロリー制限食
- どちらの食事療法が良いかの優劣は今のところはっきりしない。
また、糖質制限食を長期間実行した際の副作用もはっきりしていない。 - 糖質制限食はこれまでは、学会等では全く、認められていなかったが、最近は多少前向きに、それが有効か否か検討しようという動きが出てきた。
- アメリカ糖尿病学会では、糖質は制限しても総カロリーの30%以上は摂るように指導していたが、最近少し緩くなっている。
- 糖質をどれぐらいまで制限して良いか、現在のところわかっていない。
また、個々の患者で、糖質の必要摂取量が違うと考えられる。 - 少なくとも1日に150グラム程度の糖質は必要と考えられる。
(1食=ご飯半分あるいは、軽く1杯弱) 極端な糖質制限はしてはいけない。
[→妊娠糖尿病]